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スーツの生地の種類がわかる人になる

1.スーツの生地の種類

スーツにこだわりを持つなら、生地を意識

スーツにこだわりを持つなら、始めは何といっても生地からということになるでしょう。生地といっても種類や特徴によって違いが出てくるものです。スーツの生地の種類は主に3つあり、イタリア産、イギリス産、国産に分けられます。どういう特徴があるのかがわかっていないと、色や柄だけで選んだり、サイズの中から適当に選んだり、価格優先で選んだりということになります。人それぞれのこだわりの視点を持つことはとても結構なことになりますが、基本は素材が良くないと、何を基準に選んでも結局は何年後かに差が出てくるものです。生地の品質に無関心という方は別として、ある程度の生地の品質や好みを反映しながら、価格も考慮しながら選ぶことで、毎日着ることの多いスーツ選びがもっと楽しくなるに違いありません。生地が良ければ価格もそれなりに良くなるのは当然といえば当然なのです。

 

スーツの基本は生地選びから

スーツ初心者であればあるほど、ついデザインばかりに目が行きますが、そのうち、スーツの基本は生地選びからだとわかってきます。大まかに、生地の種類として、品質が良い、悪い(とまではいまなくでも普通)を見分けるのは、実際にスーツを触ることです。そんな簡単なこと…と思ったかもしれませんが、高級なスーツの生地とそうでもない生地では手触りがまったく違いますので、スーツ売り場に行ったらぜひ、触って比べることをおすすめします。それは、繊維が細くなればなるほど高級な生地だということ、高価なスーツになるということが相場となっていることがわかるでしょう。繊維の細さを手触り以外で証明するとなると、「SUPER」と書いてある部分の数字表示を見ればわかるようになっています。この数字が高ければ高いほど、細い繊維で高価な生地という証明なのです。慣れてくると、どの数字が自分に合っているか(価格なども含めて)がわかってきますから、数字を目安にしてスーツ売り場を見ていくと楽しいでしょう。

 

 

 

2.イタリア産のスーツ生地

イタリア産のスーツ生地は1番人気

大きく3つ挙げられる生地の種類の中でも、いつも人気なのがイタリア産の生地になります。イタリアというと、お洒落にこだわりを持っている街というイメージですが、これは事実で、質の良いものをお洒落に着こなしていると思って間違いないでしょう。イタリア産の生地は柔らかくて艶があり、肌触りが滑らなのが特長で、軽く感じる着心地の良さは万人受けするのがうなずける品質なのです。しかも、さすがお洒落の本場というべき追加の特長が、柄のバリエーションが豊富だというところ。これはもう感服でしょう。さらに、イタリアメーカーの生地ブランドだけでも40以上あるというのですから、メイドインイタリアと聞いただけで良いものだとうなずいてしまうのもわかる気がします。

 

イタリアで、生地の代表的な2トップブランド

イタリアのスーツ生地の代表的な2トップブランドを見てみましょう。まず、Ermenegildo Zegna(エルメネジルド・ゼニア)。代表素材は「トロフェオ」「エレクタ」「クールエフェクト」。トロフェオは、スーパーファインメリノウール(SUPER130’クラス)の素材で、ソフトさと光沢の良さは秀逸だといわれています。エレクタは、しなやかさと耐久性の二面性が調和した人気の生地で、高級感漂う輝きと艶が人々を惹きつけます。クールエフェクトは春夏用の生地で、細さ17ミクロンのウールに生地染めと仕上げの段階で特殊なトリートメントを施し、生地の表面温度が約10℃下がるといわれています。次はLoro Piana(ロロ・ピアーナ)。高級カシミアと高級ウールのトップメーカーで、代表素材は「タスマニアン」「ウィッシュスーパー170」。タスマニアンは、希少なウール(SUPER150’クラス)の素材で、高い吸湿性・発散性・浸透性によって完成度の高さと高級感は追随を許しません。ウィッシュスーパー170は、15マイクロンという、想像を超えた細さからなり、カシミアのような手触りが特長です。

 

 

 

3.イギリス産のスーツ生地

伝統を重んじる国、イギリス産のスーツ生地

イタリアに次いで人気なのがイギリス産のスーツ生地。硬派なイメージで、紳士なイメージ通り、イギリス産の生地は硬く、肌触りもイタリアにはない凹凸感があり、ハリと耐久性が特長です。生地の質感通り、かっちりと仕上がりますので、こういう質感を好む方にはピッタリです。硬めの着心地が悪いのではなく、あくまでも好みですし、イギリス産のほうがイタリア産より長持ちするという特長もあります。クラシカルな色柄で、落ち着きを重視するならイギリス産でしょう。そもそも長持ちする違いが出てくる点は、生地を織る糸に理由があります。織り糸には、「単糸(たんし)」と「双糸(そうし)」の2種類があり、単糸は1本の糸を織ったものをいい、双糸は1本の糸を2本寄り合わせて1本の糸として織ったものをいいます。イギリス産は双糸を使用しているため、生地が強く、丈夫で長持ちするということになるのです。ですから、他国産と比べて同じ数字のSUPER表示であっても、シワになりにくく、丈夫だということがいえるでしょう。

 

素材や仕立てに強くこだわるイギリス産の生地

無難な色柄で重厚感を重んじ、素材や仕立てに強くこだわるイギリス産の生地。イギリスのスーツ生地の代表的な3ブランドを見てみましょう。まず、John Foster (ジョン・フォスター)。イギリス素材が硬い硬いというとゴワゴワ感を想像してしまうかもしれませんが、決してそうではなく、世界最大のトップモヘアメーカーらしい、生地のしっかり感は残しながらコスパの良い生地です。次は、Savile Clifford (サヴィル・クリフォード)。ハダ―スフィールドにある名門ブランドから生まれる、撥水効果とストレッチ機能抜群の生地は、ビジネスマンに高い支持を得ています。最後に、Empire Mills (エンパイア・ミルズ)。色柄はイギリスの伝統柄をモチーフにしながらのモダン仕上げ。きっちり感のなかにもしなやかさを込めた織で国内の人気が高まっています。

 

 

 

4.国産のスーツ生地

日本が誇る、御幸毛織の技術

国産の生地の特徴は、あえてわかりやすくいうと、イギリス産の生地に近いということができるでしょう。国産の生地の良いところは、自国の四季に合わせて仕立てるため、ウールやポリエステルの配合率を調整しながら織っている点です。日本人に合った着心地を提供してくれているということで、生地のきめ細やかさからして、スーツになった時の着心地が合わないわけはないといったところでしょう。イタリアやイギリスにブランドがあるように、日本にもブランドはあります。日本を代表する老舗服地ブランドは御幸毛織です。昭和55年(1980年)、オーストラリア・ニューサウスウェルズ州にミユキ牧場を開設し、原料から服地まで自社完全一貫生産という体制を敷いている、世界にも誇れるブランドなのです。日本の技術というのか、御幸毛織の技術というのはすごく、平成8年(1996年)、13.5ミクロンという、世界で一番細い羊毛を開発し、高品質を極めたスーツを完成させています。

 

これぞ、御幸毛織の代表的な素材

御幸毛織の代表的な素材は、「ナポレナ」「エムズアーク」「ミユキテックス」「シャリック」「衣文化交流作品(世界の染織・織を混ぜた技法)」になります。ナポレナは、御幸毛織を代表する最高級ブランドで、SUPER150’クラスの双糸ウールやチャンピオンモヘアなどの最高級素材だけで織られた生地です。エムズアークは、創業百周年記念の新ブランドで、クラシック+モダンが生む新しさが人気となっています。ミユキテックスは、いわずと知れた旧・御幸毛織からの代表ブランドになり、オーダー用毛織物ブランドでは国内トップシェア。高級感とコスパを両立させています。シャリックは、クールビズに対応し、軽さと涼しさとシワになりにくさを追求。日本のクールビズには欠かせない生地です。衣文化交流作品は、まさに御幸毛織独自の取り組みで、これまでに紋紬・金箔モール・江戸染など、35種類がシリーズ化されています。